映画「ELLE」〜それが何か?な女

基本的にグロい映画は見ない主義である。

ホラーでもなんでも。フィクションとわかっていても、見れば脳に映像が残るので、ふとした時に見る悪夢の種になるため、見ないようにしている。

 

しかし、パリに行く飛行機の中で映画を選ぶ時、イザベル・ユペールの姿が非常に気になったのだ。なんとなく暗そうだったので、やめておいたが。

(結果、飛行機で観なくてよかった。流血は多いし、グロテスクな描写もあるし、隣の席の人に覗き込まれたら非常に気まずい。)

 

 

劇場はわりと混んでいてチケットを購入する機械で見たらだいたい席が埋まっていた。普段はできるだけ隣の人と間を空けて席を確保するのだが、あまり余裕がなかったため、両隣がいる席を。

 

チケットを見ながら自分の席に着くと、隣がドン小西のような個性的なおじさんで、ばりばりと豪快に音を立てながらポップコーンを食べている。なんとなく、エログロ映画をドン小西(風)の隣で見るのは嫌だったので席を移る。結果、かぶりつきで観ることに。なんだかな。

 

ついでにいうと、隣はユペールくらいの年代(50~60代?)のマダムで、ミニのスカートから突き出た細い足をしきりに組み替えていた。私、誘惑されてたのかしら(違)。

 

 

映画はユペール演じるミシェルがいきなり覆面男に暴行されるところからはじまる。

以下、ネタバレ。

 

 

実は、ツイッターでなにげなく評判をチェックしていたら、ネタバレを見てしまって、犯人が誰で、その妻が実は云々……というのを知っていたのだ。自分の不注意とはいえ、残念。

 

しかし、犯人はなんだってあんな厳格なクリスチャンと結婚したのだろう?無理やり犯すシチュエーションじゃないと興奮できないとは、かわいそうである。簡単に欲求を満たせないではないか。自分の趣味に付き合ってくれる人と結婚すればよかったのに。

 

ミシェルが「レイプされたけど何か?」みたいな態度でいるところがいい。もちろん、そんな体験をするなんて最低だし、傷付くなという方が無理なのだが。

 

魂の殺人とか言われたりもするけれど。他人に人生を台無しにされたり、汚されたりなどしたくはない。被害者に被害者らしい態度を強要するのもうんざりだ。ひどく嫌な目にあった。けれど私の素晴らしい人生は続いていく。そういうふうにはできないものか。当事者ではないからそんなことが言えるのかもしれないが。

 

とにかくこの映画の主人公ミシェルは突拍子もない。しかし、それを批判しようという姿勢はこの映画にはまったくないのだ。幼少時の事件のトラウマで、とかで無理矢理説明したり、彼女が良心の呵責に苦しむ描写もない。

 

レイプされました。親友の旦那と寝ました。ついでに親友とも寝ました。なんなら隣人も誘惑します。

 

それが何か?

 

実際にこんな女がいたらきっと顰蹙もので、周囲はここぞとばかりに常識や良心を振りかざし彼女を責め立てるのだろう。

 

それでも。イザベル・ユペールはかっこいい。世間がこの世代の女性に求める像をことごとくぶっ壊す。その姿が最高にクールなのである。

 

けれどやっぱり、私としてはこんなにグロくなくてもいいのに、って思ってしまうのだった。面白いものを見た。でも、世の中、見なくて済むなら見ないで済ませたいものもあるなあ、と。

 

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映画『エル ELLE』公式サイト