読書案内「悪女入門」鹿島茂〜目指せファム・ファタル!

私、子供の頃から運命の女、つまりフランス語でいうところのファム・ファタル (famme fatale) というものに憧れておりました。

 

その美貌、才覚etc.によって男を骨抜きにし、破滅に追い込む女。

谷崎潤一郎『知人の愛』のナオミ、デュマ・フィス『椿姫』のマルグリット。思い浮かべただけでうっとりしますね(しませんか。そうですか……)。

 

さて。そんなファム・ファタルを目指すお嬢さんたちにおすすめなのがこちらの本でございます。

 

悪女入門 ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書)

悪女入門 ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書)

 

 

フランス文学が専門の鹿島茂先生が、物語に登場するファム・ファタルたちを実用的な方法論を交えつつ解説していきます。

 

 本当言うと私は「女とはこうである」「男とはこうである」という過一般化 (overgeneralization) は好きではないのですが、ディープな恋愛小説の多いフランス文学に精通した鹿島先生が書かれていると、なるほど確かにそうかも!と納得させられてしまうのです。

 

  • プロのファム・ファタルは、どんなときでも、男のイメージをより強固にする方向で演技をしなければならない。(バルザック『従妹ベット』 の項より)
  • オタク的な男というのは、はじめからウッフン調で迫ってくる色気たっぷりの女には萎えてしまうのです。(ユイスマンス『彼方』の項より)

などなど、参考になる記述が満載でございます。

 

しかしながら。

 

自分で意識して「ファム・ファタルになるぞ!」なんて宣言しちゃったら、それはもうファム・ファタルだなんて言えないと思うのです。そこはあくまで、天然で無意識の行動でありながら男を惹きつけてやまないっていうのが理想で。

って自分で書いてて思ったんだけど、それはハードル高すぎだ!笑

 

 

でもね。人は自分で自分の魅力に気付いてしまったら、その魅力は半減してしまう。つまり「俺ってカッコイイだろ?」みたいな態度の男は、私に言わせれば論外なのです。

恋愛マニュアルから仕入れた知識そのままの行動とかとられると、冷めません?MEN'S NON-NOとかに載ってるモテ術(って読んだことないけど)をそのまま実行されたら、なんだかなあ、って気になると思う。

 

 

同様に、いくらファム・ファタルを目指す貴女はこうしましょう!と親切に教示されていても、それをまんま実行するのはどうだろうか。

 

もちろん、この本に書かれているものはイマドキの雑誌に書かれている小手先のモテ術とは違うんですけれども。どんな人にも当てはまるとは限らない。だって、理想の恋愛は人によって違うんだもの。

 

ただひとつ言えるのは。いつまでも相手の興味を惹いていたいなら、ミステリアスな部分を残しておきましょう、ということですかね。数分おきにLINEで「今何してた?」なんて聞いてはいけません。自分の前にいない時、いったい何をしているんだろうという想像の余地を残しておく。これは、誰にでも使える基本なのではないでしょうか。詳しくはプルースト「スワンの恋」の項を熟読してくださいね。

 

 

以上、ゆきのでした。