映画「さよならをもう一度」〜女が老いていくということ

「さよならをもう一度」はサガンの「ブラームスはお好き」という小説を映画化したもの。

 

まず最初に、なんでパリなのに英語喋ってるの?という疑問が。アメリカで制作された映画なので仕方ないのか。でも、話されている言語で映画の雰囲気ってだいぶ違ってしまうものでしょう?なんか違和感。まあ、「戦争と平和」とかだってロシアで平然と英語を話しているし、よくあることなのか。

 

イングリッド・バーグマン演じるポーラ(原作ではポール。フランスでは女性名でもあるのか。eで終わるの?)は離婚歴があるけれど、インテリアコーディネータとして働く自立した女性。同年代のロジェ(イヴ・モンタン)という5年越しの恋人がいるけれど、彼は公然と浮気してポールを悩ませる。そこへ、アンソニー・パーキンス演じるフィリップ(原作ではシモン)という若者が現れ、ポーラに夢中になる。

 

 

まず、フィリップがどうしてポーラに惚れたのかがよくわからない。パーキンスが表情もしぐさもなんだかゲイっぽい。いいんだけど。そこは演技でなんとかしてよ。お酒を飲んでバーグマンにしなだれかかるさまが、なんともなよなよしてる。小説を読んでいた時は、ふらふらしていたお金持ちの息子が、凛として貫禄ある美しさを持った年上の女性に魅かれ、ここは男らしさを見せようと、ロジェに対抗心を抱くようになるのかと感じたのだけれど。

 

年上女が好きな男の子って、背伸びしたい系とマザコン系があると思うの(持論ですが)。原作を読んでいた時は、背伸びしたい系の印象だったのが、なんか、映画ではマザコン坊やみたいで嫌だった(やっぱりアンソニー・パーキンス出世作「サイコ」の影響ですかね。いや、観てないんだけどね)。

 

 

そして、イヴ・モンタンがまたムカつく。ただのおじさんなのに、なんでイキって浮気するわけ?この時代のモテ男といえば、この年代のこういうタイプの人と決まってるんですかね。渋すぎないですか?ハンフリー・ボガートとか、ウィリアム・ホールデンとか。「麗しのサブリナ」を見た時も、オードリーの相手役おっさんやん!ってつっこんだわ。男はいくら年上でもいいんかい。

 

私自身、ファザコンの気もまったくないので、若い女の子がおじさまに惚れる話を全然理解できなくて。この話でも、イヴ・モンタンが次々に若い女の子と軽い気持ちで浮気するわけ。信じられん。いつまでもモテると思うなよ。

 

同じことを女がやると、世間が白い目でみるのです。ポーラがフィリップを連れて歩いてると、「え?あの女のひといくつ?」とヒソヒソと噂され。この、性別非対称性、ああ、腹がたつ。

 

ポーラもポーラで、あっちが浮気してるんだから、こちらも楽しくやりましょう!とはならず、裏切られながらもロジェからは離れられず、フィリップとも軽い気持ちで付き合うことはできず、ひとたび真剣に彼の気持ちを受け入れようとしても、世間の目や、彼よりも先に老いていく自分を考えると、とても受け入れられない。なんだかなあ。真面目だなあ。

 

サガンの他の作品を読むと、わりと40~50代の女性が若い燕(余談ですがこの表現、平塚らいてうが最初なんですって?先日の展覧会で知りました)を囲っているのはめずらしくないんですけどね。あくまでポーラはフィリップを突き放します。

 

以下、ラストのネタバレ。

 

 

去っていくフィリップの背中に向かって、"I'm old!  I'm old!"と叫びながら泣き崩れるバーグマンがあまりにも切ない。

 

そして、ロジェと結婚したとはいえ、彼は相変わらず仕事と言ってはポーラとの約束を反故にする。おそらくは浮気。

 

こういうタイプの男っているよね。ハンターか何かのつもりで。浮気は遊び。女の子にちょっとちやほやされていい気になって、それを繰り返してないと自尊心を保てない。こういう人の浮気は治らないんだよ、ほんと。

 

女性でそういうタイプってあまり見ない気がするのは何故かしら。女の浮気は本気?さあ。いくら私が女だからって、自分以外の女のことはわかりません。

 

 

ブラームスはお好き (新潮文庫)

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